症例集case
※一部、生々しい画像が含まれますのでご注意ください
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Case1異物を飲み込んでしまった
猫
一時間前に針を飲み込んでしまったとのことで来院。
遊んでいるうちに糸付きの針を飲んでしまった。
身体検査上は異常なし。
レントゲンを撮影したところ、胃の中に長さ3cm大の直針を認められ、食道に引っ掛かっている様子は無かった。異物を吐かせると胃や食道を傷つける可能性が高いため、内視鏡で摘出した。犬
ガムを飲み込んでから苦しそうとのことで来院。
身体検査では、俯いた姿勢で流涎が認められ、元気消失していた。
レントゲン検査では、心基底部の食道に異物を疑う所見があり、心臓が腹側に圧迫されていた。
また、気管支も圧迫されていた。
飼い主さんと相談の上、内視鏡にて摘出を試みることとした。幸い、内視鏡で摘出できたが、食道粘膜の損傷が激しかった為、今後は食道炎の治療が必要になると思われる。
胃や食道の異物に対して内視鏡は有用な場合が多いが、全てのタイプの異物が内視鏡で摘出できるというわけではない。
異物の大きさや性状、形などによっても影響を受けるため、電話で問い合わせて頂くのが良いと思われる。 -
Case2食欲不振と多飲多尿
犬
食欲無く、水ばかり飲んでいる。元気消失とのことで来院。
身体検査では陰部から排膿を認め、子宮蓄膿症が疑われた。レントゲン検査、エコー検査では子宮の拡大及び液体貯留が認められ、血液検査では白血球数の上昇が認められた。
飼い主さんと相談した結果、当院で緊急手術を行う事とし、全身状態を確認してから手術を行った。
子宮蓄膿症は、動物病院にて見られる最も一般的な緊急疾患であり敗血症を起こしている症例も多い。敗血症が進行した場合は多臓器不全につながるため、術後も十分なケアが必要になります。 -
Case3急にぐったりするようになった
犬
昼間は元気だったが先ほどから急に立てなくなった粘膜蒼白で虚脱しており、お腹が張っていた。腹部のエコー検査で腹水が認められ、腹水検査では腹腔内の出血が確認された。
また、脾臓にテニスボール大の腫瘤が認められ、ここからの出血が疑われた。腹腔内出血によるショックと判断し、飼い主さんと相談の結果、緊急開腹手術を行うこととした。手術で脾臓からの出血を確認し脾臓全摘を行い、血液循環を改善させた。その後、かかりつけで脾臓の病理検査と術後の管理を行なっている。
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Case4お腹が張って苦しそう 立てなくなった 吐きそうで吐けない
犬
夕食を普段通り食べたが、一時間前から急にお腹が張ってきて立てなくなり、吐きそうで何も出てこないとこの事で来院。
来院時、フラフラで虚脱しており上腹部は鼓腸音が広範囲に認められた。
レントゲン検査で胃拡張胃捻転が確認されたため、胃拡張による血液循環の悪化によるショックと判断し、直ぐに穿刺でガスを抜去した。
また、並行して循環を改善させるために静脈内から点滴を行いショックの治療を行った。
その後、飼い主さんと相談し、胃捻転の整復手術を行うこととした。
術後はかかりつけで入院治療し、経過良好となった。 -
Case5咳が止まらない
犬
夜になってから咳が続くようになり、呼吸も苦しそうになってきた。だんだんガチョウの様な音になってきたとこのとで来院。
身体検査ではチアノーゼ及び気管虚脱特有の咳が認めらたため、酸素吸入を行い頚部と胸部のレントゲン検査を行った。
レントゲンでは頚部気管の重度虚脱が認められた為、ICU入院で酸素吸入およびステロイド、鎮静剤を投与して翌日にかかりつけで入院継続となった。 -
Case6尿が出ない
犬
排尿姿勢をとるが尿が出なくて苦しそうとの事で来院。下腹部に張っている膀胱が触知され、エコー検査でも膀胱がパンパンな状態だった。腹部レントゲン検査では、陰茎骨の部位で尿道結石が確認されたため、尿道カテーテルを用いて結石を膀胱内に戻し、自力で排尿が出来るようになった。処置で緊急事態は回避できたが、結石は膀胱内に残るためかかりつけにて今後の対応を相談してもらう事となった。
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Case7前足のびっこ
犬
ソファーから飛び降りてから右前肢を着かないとの事で来院。触診では右の前腕部が腫れており、完全に挙上していた。レントゲンでは橈尺骨の遠位で斜骨折しており、手根関節および肘関節は異常なかった。救急治療として外固定を行い、明日かかりつけで今後の治療を行っていく事となった。
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Case8後ろ足のびっこ
犬
ソファーから飛び降りてから左足をびっこするとのことで来院。左後肢を完全挙上しており、歩行時も患肢を負じゅうせず。指や甲、足根関節、下腿骨、膝関節、大腿骨に問題なかったが、股関節外線で疼痛を示した。
レントゲン検査を行ったところ、左股関節の頭背側への脱臼が認められた。飼い主さんとの相談の結果、全身麻酔下で非観血的整復を行い、麻酔から覚醒後に帰宅した。明日以降はかかりつけで経過を診てもらう事となった。
猫
身体検査では、右後肢の甲が腫れており、内出血していた。レントゲン検査では、右後肢の中足骨に骨折が認められ、足根関節は異常認めなかった。鎮静下で外固定を行い、明日以降かかりつけで治療を行っていく事となった。
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Case9呼吸が苦しい
犬
今日の夕方から呼吸が苦しそうとの事で来院。身体検査でチアノーゼを認め、呼吸数は一分間で60回を超えていた。心雑音は5/6で聴取され、股動脈はやや微弱であったた為、心原性肺水腫が疑われ た。直ぐに酸素室に入って酸素化を行い、利尿剤を注射して呼吸状態が改善してから胸部レントゲンを撮影した。レントゲンでは心陰影が拡大しており、肺の後葉に不透過性領域を認めた。留置針を確保してミルリノンの持続点滴を行い、朝まで酸素室入院となった。朝にかかりつけ医に電話し、受け入れ可能を確認した後、酸素吸入下で飼い主さんが車で移動した。
猫
今朝から呼吸が早かったが、苦しくて口を開ける様になったとの事で来院。院内で開口呼吸とチアノーゼを認めたため直ぐに酸素吸入を行い、胸部のエコー検査を行った。その際、胸水が確認された為抜去処置を行い、レントゲン検査及び胸水検査を行った。レントゲンでは心陰影の拡大が認められ、胸水は変性漏出液であったため、心筋症が原因で胸水が貯留していることが考慮された。胸水抜去後は呼吸状態が改善したため、明日かかりつけを受診して後日に心臓の精密検査を行ってもらうように伝えています。
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Case10難産
犬
現在、妊娠中で、息む様子があるが、産まれる気配がないとの事で来院。交配してから64日経っており、出産予定日を過ぎている様子。母犬は腹囲膨満で起立できず、息むが全く出る気配はない様子。
産道は拡がっておらず、胎児の心拍数が1分間に90回と低下していた為、飼い主さんと相談して帝王切開手術を行った。子犬は無事に回復し、母乳を飲む様子が見られるようになった。母犬も麻酔 から覚醒して起立出来るようになってから帰宅した。
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Case11嘔吐と食欲不振
猫
昨日から食欲がなく、嘔吐が続くとの事で来院。身体検査では、舌の根元に糸が絡まっており、舌に炎症が認められた。
糸がどこまで伸びているかを確認するために腹部のエコー検査を行ったが、小腸の広範囲に糸が確認されたため、緊急手術を行った。
舌の糸を切り、小腸も3箇所切開して糸を取り出した。また、内視鏡にて食道の状態や胃の様子も観察した。
麻酔の覚醒は良好で、明日以降はかかりつけにて術後管理を行う予定となった。